MPGフライトについて

モーターパラグライダーのフライトについて
2021.3.9

モーターパラグライダーは、風が穏やかな日は風の向きにかかわらず飛ぶことができます。
石狩や道北にある砂浜のどこまでも続く海風の中を景色を楽しみながら仲間とのんびりと飛ぶ楽しさは格別です。

海風で飛ぶエリアは気流がとても安定しています。そして雪国の冬のフライトも揺れが無くて気持ちが良いのですが、寒さがちょっと・・・
内陸でのフライトが安定しているのは朝凪と夕凪です。日中でも穏やかな曇りの日は比較的揺れが少ないです。
上空に寒気が入る季節、内陸ではベナール対流やサーマルなど上下する乱気流が出るのですが、あまり無理をせず空を楽しんでください。

モーターパラグライダーは空を飛ぶスポーツですから離陸前のチェックミスや飛行に対する知識が無かったことによるアクシデントが耳に入ります。いくつか気を付けることが有るので書き記します。

最近のパラグライダー安全性能が素晴らしいので、ある程度の乱気流で揺られてもキャノピーが潰れることは有りません。試しに飛行中に片方のAライザーを50㎝ほど引き下げてキャノピーを半分くらいまで潰しても、EN-Bクラスで有ればすぐに回復しています。でもすぐ前を飛ぶパイロットのプロペラ後流に入ると、キャノピーは大きく揺れて潰れたりしますが、少し高度が有れば間もなく回復する安全性能になっています。

事前にエリアに向かう前の天気予報のチェックが大事です。エリアに到着したらまず吹き流しを設置して風の乱れと強さを確認します。
一般的に広げたキャノピーが風でズレ始める風の強さが飛行限界だと言われています。

エンジンユニットを背負う前に、エンジンユニット各部の点検、プロペラやフレームの傷み、ハーネスの取り付け部分や防振ゴムの劣化など、各部の点検を入念に行ってください。そして飛行計画による適切なガソリン量を給油します。

エンジンユニットを背負ってからエンジンを始動します。一度エンジンをフルスロットルにして、十分な推力が出ているかチェックします。

たとえば夏と冬とでは推力が20パーセント前後も違いが出ます。気温が高くなる夏には空気密度が膨張していることで、エンジンに吸い込まれる吸気の空気密度が薄くなり、燃焼室での圧縮圧力が低下する為です。
さらにプロペラに当たる空気も、キャノピーに当たる空気においても空気密度が下がっていますから、冬のような上昇性能は出ませんので夏は少しゆっくり上昇します。

空を飛行する翼は飛行速度がとても大事です。
ブレークコードの引き過ぎは、失速に近い飛行速度です。キャノピーの内圧も低いために少しの気流の乱れですぐに潰れや失速するアクシデントにおち入ります。
たとえ片方のブレークコードであっても、腰のあたりまで引きすぎると片翼が失速します。飛行速度が無ければどんな翼も失速することを肝に銘じて飛行してください。

EN-Bクラスで有ればキャノピーの潰れや失速が始まってもブレークコードを引かずに待てば、間もなく回復しますが、一般的に10~30mくらいの急激な高度ロスになります。

まずは離陸前のキャノピーの広げ方が大事です。
風の向きに合わせて扇型に広げると、ライズアップの最初の一歩で中央部のラインから引かれ始めるように扇型に広げることでキャノピーがまっすぐに上がっていきます。
正対のライズアップは前傾姿勢ですから、横を向いて上がり始めたキャノピーの翼端を見てバランスを確認しながら引き揚げるのですが、キャノピーが少し傾いて上がってきたなら真ん中に立つように横移動しながらライズアップします。

風の強さに合わせたライズアップが大切です。風が無い時は走りこむようにキャノピーを引き上げますが、風が3~4mくらいの強めの時は、キャノピーが膨らんで上がり始めたら、少し後ずさりをしながらゆっくりキャノピーを引き上げます。

両手を力まず均等に引くことでまっすぐ上がってくるのですが、キャノピーの片方が先に上がり始めるとそちらのライザーだけが引かれます。引かれた側を緩めて、その反対側へ少し横移動しながらライズアップすることで、うまくキャノピーが上がってきます。

キャノピーが70%くらいまで上がり始めたら体を引き起こしてスロットルを開けて推力で前進する事でキャノピーが頭上まで上がりますからそのまま助走開始です。風のない時は一度も立ち止まらずに走り出すことが大切です。

走り出したらすぐにフロントライザーを話し、あまりブレークコードを引かずに推力に押されながら助走します。この時も、常にキャノピーの真ん中に入るように走り続けます。
※ 助走の時、前傾姿勢でスロットルを開けると、推力に押しつぶされて転びます。お腹を出した姿勢でスロットルを開けます。

加速が完了し、離陸速度に達したなら、両手を広げブレークコードを引き込む操作をします。航空機が離陸速度になりエレベーターを引くのと同じ理論です。そしてさらに走り続けて足が空振りするまで走り切って離陸します。
けっして飛び乗りをせずに、走り切って離陸をしてください。

走り続けて離陸したら、すぐに引いていたブレークコードをゆっくりと戻して加速します。
速度を上げることで、速度が2倍になると揚力が4倍になる理論で上昇します。
絶対にブレークコードを引いたまま、失速しそうな速度で上昇しないでください。
YouTubeでは離陸上昇中にブレークコードを引いたまま失速して、後ろ向きに落ちてくる映像が有ります。

クロスハンドでのライズアップは正対のライズアップの応用です。インストラクターの指導のもと、練習を始めてください。

着陸について
着陸前に吹流しを確認してしっかりと風向の向きで進入し、風速に合わせて着陸です。

高度10メートルくらいでハーネスから尻を抜き、足を前後に構えて足の高さが1mになるようにブレークコードを引き始めて片足が地面に滑り込むようにフルブレークコード操作をするのが基本です。

この時大切なことは、高度が3mくらいまでブレークコードを引かずに速度を保つ事です。高度があるうちからブレークコードを引き始めると、その途中で失速気味になり、フルブレークをしてもドスンと着陸する事に成ります。
着地の最初に片足が地面に滑り込むことで体が起きて、しりもち着陸にはなりません。

風が強いときは、あまりブレークコードを引かずに、スロットル操作でゆっくりと降下しながら歩くように着陸するのがコツです。そしてすぐに振り向いてからフルブレークをするのですが、下りてくるキャノピーに向かって風下に歩きながらフルブレークです。
風が強い時の着陸は、スロットルをオフにしてフルブレークをすると、下り始めたキャノピーに強い風が当たるので、そのまま後ろ向きに転んでしまいます。

着陸進入の時に着陸のタイミングがうまくいかないと感じたら、スロットルを全開にして、もう一度着陸のやり直しです。(ゴーアラウンドです)


アクシデント未然に防ぐため
単独飛行をせず、仲間同士でエリアに集まって飛行して下さいね。
衝突を回避するトラフィックルールも含めて、離陸の前に全員でブリーフィングをします。必ず無線機を装着してコンタクト確認をして離陸です。

飛行中に危険な飛行をするパイロットを見つけて、すぐに無線でドバイスをしています。
複数で飛ぶときは、同一高度で飛ばないことが基本です。前を飛ぶパイロットが不意にUターンして衝突する事故も防げるのです。すぐ前を飛行するプロペラ後流の中に入って、キャノピーが激しく潰れてしまうことなども含めて、無線が通じなければパイロットが着陸するまでアドバイスができないのです。

他のエリアにおいては、山や丘から吹いてくる乱気流や河川敷の堤防を越えてくる乱気流の知識が無く、離陸直後にケガをしり、丘や林や建物の風下側で気流の悪い所で離着陸しようとする危険なパイロットを見かけます。
衝突しそうになった時、互いにどのように回避するのか、どちらに回避義務があるのか、トラフィックルールさえ知らずに飛んでいるパイロットを見かけます。

エンジン始動の時に事故が起きています。
何らかの理由でスロットルレバーがONになっていることに気が付かずに始動し、一気にプロペラの回転が上がり大きな推力によって、置いてあったエンジンユニットのプロペラがパイロットの体に当たる事故です。
全国的にはこの事故が時々起きているので「日本パラモーター協会」では「エンジンの始動は必ずエンジンユニットを背負ってから始動をしてください」と、何度も繰り返し指導しています。

タンデム用エンジンユニットで、一人で離陸する危険性について
一人で飛ぶパイロットがタンデムフライト用の推力の大きなエンジンユニットで離陸をすると、自分の体重くらいの推力が有るエンジンユニットですから、最大出力で上昇する時に起きる大きな反トルクで、片方のライザーにだけ飛行重量が片寄ってしまい、離陸したパイロットは少し斜めに傾いて離陸し、上昇中にキャノピーが少し横を向いて飛行します。
最悪、上昇中にライザーが目の前でねじれて、パイロットだけが回転して、ライザーがねじれたまま滑空しハードランディングします。絶対にやめてください。

緊急パラシュートとライフセーバーを装備しましょう。
パラシュートリガーの僕はこれまで360個以上緊急パラシュートのリパックをしていますが3年もリパックしていなければ、出してもなかなか膨らみません。スカイダイビングやJPAは5か月おきのリパック規定となっています。最低6ヶ月おきにリパックしましょう。
高さ50m以上に上昇して飛行するときは、必ず緊急パラシュートを装着してください。一般的に50m以上の高さが有れば、開傘するようです。

モーターパラのアクシデントは、着水による溺死も多いです。水辺で飛ぶパイロットは、必ずライフセーバー(入水を感知して自動的に膨らむ浮き袋)を装着してください。

新しいエリアに出かけたときは、その日の風の向きを確認して、どの場所に乱気流が発生しているかイメージし、起伏のある地形、建物の陰や林の陰から出る乱気流に気をつけなければならないのですが、たとえばサイロのような丸い建物の風下に出来るカルマン渦巻はキャノピーが激しく揺れるので気をつけてください。
新しいエリアに出かけたときは、フライト前のブリーフィングと最初にベテランパイロットがウインドダミーで飛ぶ事をお勧めします。

最近増えてきた風力発電のプロペラ後流のエネルギーは強烈です。特にプロペラの先端から出る激しい渦巻(ウエークタービュランスとかウイングチップブォルテックスと言います)は、強烈です。絶対に入り込まないでください。風の強さとプロペラからの距離によっては、入った時と出るときの2回、大きな揺れや潰れに遭遇します。

後書き
僕は少しアスペクト比の有るキャノピーで飛んでいた期間が有るのですが、60mほどの高まで上昇したところで気流が悪くて潰れてしまい、キャノピーが回復せずにドスンと雪原まで下りてしまいました。今はすぐに自然回復するEN-Bのキャノピーで飛行しています。
他には、山飛びの初級機をモーターパラに使用してみると、横揺れが出るキャノピーがいくつかあります。

航空法による飛行高度その他について
僕らが飛行できる時間帯は、日の出30分前から日没後30分までです。そして雲中飛行は禁止です。(VFRの基本です)

2015年12月に施行されたドローンの法律は、地表からの高さを150m以下でフライトすることに規定されました。マイクロライトプレーンは、高度150mから200m以下の範囲で試験飛行しています。
そして一般的な航空機の飛行高度は300m以上の高さて飛行しています。

僕らのフライトは、飛行場から半径9Km(6マイル)以内に入って飛んではいけませんし、更に飛行場の離着陸進入コースは高度を上げて飛行できません。丘珠飛行場のように頻繁に飛ぶ航空訓練空域などは、あらかじめの調査や近隣の飛行場への問い合わせをしてくださいね。

皇居上空、自衛隊の施設への接近、原子力関係の施設上空では飛行できません。
その他の所では一般的に飛行高度に制限がありませんが、知床など、自治体がドローンやモーターパラを禁止しているところも有ります。新しいエリアで飛行するときには、あらかじめ近隣の飛行場や警察署に連絡を取って飛行してください。
僕らが飛ぶ石狩や銭箱エリアでも、高度200mを超えて上昇するときは、丘珠空港に連絡を入れています。北斗市で飛んだ時は函館空港と警察に連絡を入れてフライトしています。

マナーを守って、社会秩序の範囲で飛行してくださいね。