パラグライダーの進化について

2020.12.26

パラグライダー始まりは、スカイダイビングのパラシュートでヨーロッパアルプスの山から飛び降りてみたのが始まりです。僕が飛び始めたころのキャノピーはAライザーとBライザーのみです。でもキャノピーはA・B・C・Dにラインが分かれていて細長い楕円のキャノピーになっていました。まさにスカイダイビングのキャノピーと同じでした。

ライズアップはAライザーを片の高さで引いてもなかなか上がってこないし、上がってもフレークコードを1mほど引いて頭上でキャノピーを止めなければならない物でしたしルスツの山頂から飛んでも着陸場には届きませんでした。

その頃は知的なデザイナーが居なくて、ライズアップができないキャノピーやスピンに入りやすいキャノピー、潰れからの回復操作がとても難しいキャノピーが出回り始めたのですが、やがてジン(当時の名前はイーデル)やノバ、アドバンス、スイングなど、しっかりとした航空工学の知識を持ったメーカーが出てきましたが、それ以上にコピーメーカーも出てきました。

安全性も向上しています。
僕がパラグライダーを始めたころは、すでにハンググライダーが全員パラシュートを装備して飛行していたのですが「パラグライダーはパラシュートだから、緊急パラシュートはいらない」と言って、10年以上も誰も装備していない時代が有りました。
そして15年くらい前まではパラシュートのリパックをしていませんでしたから、パラシュートを出してもパラシュートが開かず、ノロシ(鯉のぼりのような)状態でいつまでも開かないのを見ています。

その頃の初級機はわずかな大気の揺らぎですぐに潰れて、そのまま待っていても回復しない物でしたが、パラグライダーは骨組みが無いのだから仕方がないのだと思っていました。
近年では全く潰れないどころか、わざと半分以上つぶしてもすぐに回復して安心です。

最近ではキャノピーの前縁の部分にある程度堅いフィルムが入っていたり、フレキシブルですがナイロンバテンが入ったりシャークノーズなども加わって、確実にキャノピーに風が入って潰れからの回復がさらに早くなっています。

キャノピーの凸凹を小さくして滑空性能がとても良くなっています。
翼の揚力は上面の気流の流れで70%の揚力を発生していると言われているのですが、さらには翼上面の前半分で50%の揚力を出していますから、その部分だけは極力凸凹にならない設計が大事なのです。

日本人がキャノピーの中のVリブを発明して世界選手権で優勝した事もありましたが、そのキャノピーは一度失速が始まるとパラシュートのように地面まで落ちていきました。

ノバはVリブを2枚から4枚にして、隣のリブともう一つ外側のリブにまでVリブを延ばすことで、1本のラインで5枚のリブにつながる技術で、リブ数増やしてキャノピー上面の凸凹を小さくし、ライン本数と長さを減らし滑空性能を上げています。

このごろはインテークからアッパーサーフェスの60センチくらいまでを3次元カットして凸凹をとても小さくして滑空性能を向上しています。
世界中の知的なデザイナーによって進化するパラグライダーは、これからも楽しみです。

テクニカル

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