今朝の経済新聞から

カルマン渦巻の危険性について
2021.12.27

僕はハンググライダー世代なので、とんでもなく気流が悪い日でも飛んでいたのですが、パラグライダーでは飛んではいけない日や、木立の陰や建物の風下でも気流の乱れによってキャノピーが潰れます。

ルスツでは10Km北西に独立峰の羊蹄山(えぞ富士)からの乱気流が来ている日が有ります。ハンググライダーではまったく気にせず飛んでいたのですが、パラグライダーはやはり不安定な気流によって時折キャノピーが潰れます。
風の強さにもよりますが、独立峰からはカルマン渦巻が発生しているので潰れやすいのです。

カルマン渦巻とは、丸い物の風下にだけ起きる風で、振り子運動のような乱気流が発生するのです。
たとえば直径10センチ以上のポールに付いている大きな国旗が穏やかな風の中で激しくたなびいているエネルギーはカルマン渦巻によるものです。

冬になると北西の風に乗って日本海で発生する雪雲の筋が天気予報の画像に現れるのですが、北朝鮮の東にある2600m級の山からカルマン渦巻が発生しています。時々ですが、そのカルマン渦巻がはっきりと石川県から新潟県にかけてそのまま渦が到達している雪雲が見られます。

以前、JHFの資料ビデオで何度か見ているのですが、空のF1にも使用していた高さ10mを超える巨大なコーンパイロンをスラロームする競技シーンで、キャノピーが潰れて着水してしまうシーンを見ましたが、明らかにパイロンコーンの風下側に入ってカルマン渦巻によってキャノピーが潰れているのです。

ポールに取り付けた大きな国旗があれほどたなびくのですから、パイロンコーンのトップよりも低いコースでキャノピーを通過させるタスクを競技委員会が設定してはいけません。

日常的にはサイロや灯台などの構築物の風下は、カルマン渦巻の大きなエネルギーが潜んでいる事に注意をして下さい。
ある程度アスペクト比の有るキャノピーはカルマン渦巻で簡単につぶれてしまい、なかなか回復しません。

後書き
僕は「核燃料再処理施設もんじゅ」で起きてしまった事故の原因は、温度計の取り付け部を円柱で設計したことだと思っています。その事が液体の流体中で、カルマン渦巻や共振が起きますから、その根元にストレスがかかり破壊する可能性が有ることに誰も気が付かず起きた事故だと思っています。おそらく、理論が分からない人が強度計算だけで図面を書いたのだと思います。

2021年03月08日