6 XCフライトについて
2018.08.16

サーマルハンティングが上達したならば、その次はクロスカントリーフライトです。
地形のサーマル源の分析や上空にある真っ白いサーマル雲や風の向きと山岳地形とを分析した斜面上昇風、時折できているクラウドストリートなども利用します。

尻別岳トップアウトからクロスカントリーフライトは、春が一番おすすめです。
理想的なのは、10時を過ぎて日差しが十分強くなり、まだ何も植えられていない畑が乾いていて、十分に暖められている事が条件です。大滝村方向や中山峠方向、そして京極方向でも良いのです。暖められたサーマルが飛行コースのどの位置に上がってきているかをイメージして、サーチしながらリフト帯を飛行します。

畑からのサーマルで十分なのですが、春先はさらにいくつものプラス要因が有ります。
気温が低いこと、上空に冷たい寒気が入っている事、大きな川は水温が低くてその河川敷全体の地面が冷たい事、林の中の北斜面にはまだ残っている雪のせいで、河川敷も林も勢いよく下降気流になっていて、畑で暖められたサーマルの勢いを後押ししているのです。
もし、その季節のフライトに出会えたなら、畑に沿ってどこまでも飛んで行けます。

ですから、飛行コースは手堅く畑から風に流されて上がってくるサーマルコースを飛びます。たとえ遠回りであってもできる限り幅のある林を横断せずに飛行します。

ためしに幅のある河川敷や林を横断すると分かりますが、ものすごい勢いで下降気流ですから、Uターンしてフルアクセルで脱出です。(下降気流からの脱出は、ブレークコードを引いてゆっくり出てくる操作は、理論的に間違いです。沈下を遅くしようとする努力は、飛行速度も遅いために時間がかかってしまい、下降気流からやっと出てきたときの高さが低いのです。)そして仕方なく下降気流を横断するときもフルアクセルです。

追い風でのクロスカントリーフライトは、少しブレークコードを引いていた方が飛行距離が出ます。ポーラーカーブの最良滑空速度よりも少し最少沈下速度寄りに飛行する事が理論的なのです。もう少し詳しく説明すると、ポーラーカーブのグラフに追い風の分の対地速度がプラスされるので、Y軸の座標軸が追い風の分だけ左に移動し、そのX軸Y軸の交点から延びる線とポーラーカーブの接線がそうなるのです。向い風はその逆ですからアクセルを踏むことで、対地距離において滑空角度が良くなるのです。

追い風で飛行中にヒットするサーマルは、あっという間に過ぎてしまうので、すぐに、これでもかと言わんばかりの急旋回をしてそのサーマルにとどまりセンタリングを始めます。

その日のコンディションを深く分析します。
僕が時折書き込みをする言葉に「上空に冷たい寒気が入っている日は・・」と伝言板に書き込みをしていますが、そういう日は天気予報に朝の気温と日中の気温差が大きく書かれていますし、テイクオフとランディングに大きな気温差が出ます。
天気予報の風予報のほかに、気温の予報の中にサーマルコンディションを読み取ってくださいね。

田村さんはニセコランディングに着陸しています。平野さんは喜茂別の双葉から大滝村まで回り込んで、昭和新山の近くまで飛んでいます。
そんな日のサーマルは高度による気温差も大きいので、上昇してもいつまでも周りの大気との気温差が大きいせいで上昇の勢いが衰えませんから、しっかりセンタリングをすることで雲低高度まで上昇します。

いわゆるエマグラムで表す逆転層の高度が雲低高度になるのですが、その雲低高度を超えてさらに上昇する事はなかなかできないのですが、入道雲の中心に入り込んでセンタリングをすると更に上昇します。
僕はハンググライダーの時代にあえて体験しています。かなり上昇すると周りが真っ白で、真下だけぽっかり地上が見えるのですが、その後はとんでもなく気流が悪くなって、いったい何時この入道雲から出られるのだろうという思いをしています。ハンググライダーであれば、翼は潰れないし、きりもみ状態になることも考えにくいのでやってみたのですが、空中衝突も含めてパラグライダーでは危険だと思います。
入道雲に吸い込まれそうな時は、両翼端折りのフルアクセルで、上昇風ゾーンからエスケープしてください。

しかし雲が発生していなくても、雲低高度の気流が入道雲のようになっている事が有りますから、一度雲低高度まで上昇して頭打ちになっても、あきらめずにその気流を探してみてください。サーマルに勢いのある日には是非。
(競技中に故意に雲中飛行をすると、空中衝突の危険行為として、失格する事が有ります)

ルスツは、どこにでも着陸できそうな場所が有るエリアですから、気軽にどこへでもクロスカントリーフライトに挑戦できるのです。



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