ウェーブ(山岳波)
2018.08.15

ウエーブとは、飛行中の風上にある山から吹き降ろした風が、次の山で斜面上昇風になる風なのですが、飛行している山の斜面上昇風が、たとえは温泉ホテルにあるウォータースライダーのようにきれいな風でウエーブ状況が出来ていて、飛行している山の高度の何倍もの高度までウエーブが続いている現象です。

僕はまだパラグライダーがなかった時代の35年ほど前に体験していますが、南南西の風に乗ってハンググライダーで尻別岳の西山まで飛行して、風上にターンした時に、バリオメーターがプラス3くらいで鳴りはじめました。軍人山からと思われるウエーブを感じたので、そのまま最少沈下速度を維持していると、高度1.800mくらいまではバリオメーターのプラス3くらいの一定の音を聞きながらの上昇をしています。
最少沈下速度まで速度を落としているのですが、少しずつ前進してしまうので何度か後ずさりを繰り返しながら、ほぼ同じところで果てしなく上昇していく感じです。この時は高度2,100mほどで頭打ちでした。

勢いのあるウエーブは、その後ろに次のウエーブもあるので、そこでも上昇できたのですが、第1波のような勢いのある上昇は得られませんでした。

20年くらい前には、尾野さんと言うパラグライダーパイロットが、南東の風でテイクオフし、貫別岳からのウエーブで1,000mを超えて上昇していました。「尾野さん、それは貫別岳からのウエーブだから心配しなくていいよー」と、僕から無線で伝えていたのですが、尾野さんは初めての経験だったので不安になって「もういいです」と、無線が入り、上昇の途中でやめていました。
上昇し続けた場所は、道の駅の北側の「どんどん市」のあたりです。

その次に離陸した守屋さんは、飛行コースを橇負山の斜面上昇風を利用して国道230号線まで高度が下がらないように前進してほしかったのですが、まっすぐ尾野さんが上昇した方向に向かってしまったので、ウエーブの手前で高度が無くなっていました。

ウエーブは程よい風の中で起きる現象なのですが、35年程前には滝川から離陸したセールプレーン(飛行機の形のグライダー)が、ピンネシリ山からのウエーブで6,000mまで上昇したことが北海道新聞に載っていました。

尻別岳で2100mでトップアウトした僕は、セカンドウエーブでほんの少し高度を持ち直した後、大滝村の双葉まで飛行し、そのまま美笛峠の先の千歳鉱山沈砂池まで行けそうな高度だったのですが、「明日も仕事があるから、けがをするわけにはいかない」と思い、はるか下で農作業をしている人を見つけて高度を下げて、農作業のおばさんたちに「着陸してもいいかい」と、大声を出して着陸していまーす!

パラグライダーではなかなかウエーブを体験する事は出来ませんが、それはとても安定した上昇気流ですから、もし遭遇する事があったら怖がらずに上昇し続けてみてください。

正確な知識を持って空に臨むことで、ふいに遭遇する魅力的な風を理解して、その風を最大限利用して飛ぶのです。



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