7 キーポイント
2018.08.16

キーポイント1
色々な高度処理エスケープ
雲に吸い込まれそうな時や狭い範囲への着陸は、両翼端折りが一般的ですが、千歳で空撮の仕事をしている仲間から「入道雲に吸い込まれてどうしようもなくなって、ブレークコードを手に巻いてフルブレーク状態を続けることで、やっと脱出できた」と聞いています。
ブレークコードを手に巻いてフルブレーク状態を続けると、最初に座っているイスを後ろに倒されるような挙動が有りますが、その後は安定して後ろに後ずさりする沈下です。
フルブレークによる降下操作は腕力がいりません。手に巻いたブレークコードは操縦操作ができるので、後ろ向きの進行方向を目標に操縦ができます。
回復操作は、ブレークコードを徐々に上げてキャノピーが少し前に出たタイミングでブレークコードを開放します。キャノピーを頭上安定させるタイミングは皆さんがノービスパイロットの時に何度か練習をしたピッチングを止めようとする操作と同じです。
Bストールでは、かなり腕力のある僕でも、せいぜい100m高度を下げるくらいで力尽きてしまいますから、強い上昇の中からは脱出しにくいです。
Aストールは、技術も腕力もいらない降下手段ですが、ここでは省略します。
スパイラルは、技術が有れば10m/S以上の沈下もできますが、体にかかるGが大きすぎて、僕は3回転まで3回ほどしかやったことが有りません。(かなり首と体に力を入れて頭を起こさなければバリオを見ることが出来ませんでした)普通のスパイラルでも気持ちの良い物ではありませんし、スパイラルからの回復操作を理解していないと、外側のブレークコードを引いただけでは急にキャノピーが回復しますから、大きくピッチングすることもあり危険なのです。
これら緊急の高度処理は勢いよく沈下しますから、下にいるパイロットとの衝突に気を付けて下さい。

キーポイント2
山頂に来る周期的なサーマルブロー
古い自慢話になってしまいますが、僕がハンググライダーを始めたころは、道内のほとんどの大会に出ていて、そのほとんどが1位から3位であった時代のお話です。
春に比布(ピップ)の大会が有り、山頂で15機ほどハングがフライト準備を始めていた時、風が良いのですが、時折風が4mを超えるので時間を計ると、ほぼ12分周期くらいで山頂にサーマルブローが入っている事に気が付いて、次のブロータイムに合わせて僕がテイクオフしたことが有ります。
結果、1本目の僕はダントツの1位でしたが。着陸の時に翼の一部が壊れて、2本目のフライトにエントリーできず、合計得点で2位になりました。
エリアによっては周期的なブローが上がってくるエリアが有るのです。橇負山南斜面ではこのような周期的なブローは感じませんが、西テイクオフではそれを感じる時が有ります。

キーポイント3
アスリートのバリオメーターは
バリオの音にタイムラグのない物、飛行中のサーマルが有った所の軌跡が残るバリオを使用するのはもちろんですが、僕らとは設定が違います。
下降気流の設定を0.5~1mの範囲でシンクレート設定していて使用しているか、もう一つ持っているかしています。
フライト中は降下中の音色が鳴りっぱなしで飛んでいて、音色が止まったらわずかな上昇気流が有ったことになるので、サーマルサーチを始めるのです。
要するに、バリオがプラスを示して鳴りはじめるのを待ってサーチするのではなく、沈下が少なくなったら、サーマルのすぐ横を飛行している可能性が有るので、サーマルサーチし始めているのです。
僕もバリオをその設定で飛行していたことが有りますが、飛行中がやかましいので、今はやめています。
もう一つ、セールプレーンの高性能機は翼の中に100リットル以上もの水タンクが有るのです。重くすることで沈下速度が速くなってしまうのですが、滑空性能は同じで飛行速度が速くなるのです。                                         パラグライダーのアスリートはハーネスに水バラストを10リットル以上も取り付ける人がいます。そして一ランク大きなサイズのキャノピーに乗ることで、レイノルズ数で有利になるからです。反対に体重の軽いパイロットはその分小さなキャノピーに乗るので、何パーセントも不利なのです。

キーポイント4
最近のキャノピーにはスピードブレークライザーが出始めています。
ブレークコードによる操縦ではなく、Dライザーを引き下げてライト兄弟のライトフライヤーのように、翼の全体をねじるようにコントロールする仕組みですが、パラグライダーは飛行速度が遅いのでアドバースヨーで旋回していますから、翼をねじって旋回する方向がライトフライヤーとは逆方向です。
最新のものは、Bライザーもリンクして引かれる仕組みの物が出てきて、キャノピーの上面にシワが出ないものまで開発されています。ブレークコードを引くことによる抗力よりも、速度を保ったままの旋回ができる仕組みですが、ライトフライヤーが、ラダーと併用する操縦方法で旋回しているように、しっかりと体重移動しなければ思うようには旋回しませんし、小さな旋回には向いていないのですが、クロスカントリーフライトには有効な手段かもしれません。
でも僕の理論では、大きな旋回においては体重移動だけで旋回する事が最もロスのない効率の良い旋回です。

キーポイント5
風の向きが急変する前の暴れるような揺れ
長年飛んでいると風の向きが突然変わるそのわずか数分前に大きな揺れを感じます。
真下にはサーマル源も無く、気流の乱れが起きる特別な地形が無いのに突然の揺れに遭遇しますが、サーマルや気流の乱れとは違う特別な揺れです。
20年以上のモーターパラフライト経験の中で何度も体感し理解していて、ピュアフライトの中でも感じています。


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