1 パラグライダーの始まり
2018.08.14

1 パラグライダーの始まり


30年前、まだハンググライダーの時代にパラグライダーが突然現れたのですが、それはまだセルがせいぜい10セルくらいのスカイダイビングのキャノピーで、着陸場までは滑空できないものでパラシュートと言っていました。でもその3年目にはまっすぐ飛べば着陸場まで滑空するものが出てきましたが、ソアリングが出来る性能ではありません。

パラグライダー開発の初期は、前縁がとがっているもの多く、フロントライザーを強く引いてライズアップをしていました。ピッチ安定も良くないので、潰れやすかったのですが、現在のパラグライダーの前縁は、翼弦長の2パーセントを超えて大きなRになりリフレックス翼になっているので、ピッチ安定がとてもよくなり、地面に置かれた時のライズアップの揚力が大きいせいで、フロントライザーを持たなくても簡単にライズアップができる時代が始まっています。

今は翼端そのものが真下にまでカーブしているドロップチップデザインが主流になっています。飛行中のヨー方向の安定性をもたらしています。
航空機のウイングレットのような役目も少しありますが、翼のつぶれにくさに大きく貢献していることと、直進安定性や素早い回復のための設計です。 
一方、アクロバット用キャノピーは運動性能重視ですから、翼端をドロップチップにしないことで、サットやマックツイストに入れやすい設計です。 


僕は、ここ10年くらいAクラスBクラスのキャノピーしか販売していません。60%の肩翼潰しをしても自然回復する安全性の高いキャノピーに乗ってほしいのです。


開発が進み滑空性能が良くなる一方、初級機なのに日常的にキャノピーが潰れていましたし、スパイラル操作をするとキャノピーだけがプロペラのように回転して、目の前で左右のライザーがねじれるようなキャノピーも販売されていました。

セル数が増えていき初級機でもラインの総延長は700m~800mにもなっていく中で(最近はライン長がとても短いと言われるノバ社のキャノピーは、ライン総長が250m以下だと聞いています。)ラインの抵抗を減らすことで飛行速度が上がり揚力が増大して滑空性能が上がります。

20年以上前、ライン本数を減らす技術でVリブが表れましたが、一方、世界選手権にはインテークがとても細く、翼厚が8パーセントの薄翼設計の危険な物まで出てきた時代が有りました。

僕はパラグライダーは超低速なので、もっと厚みのある翼形で、ピッチ安定の良いリフレックス翼で設計するべきだと思っていました。

そんな折、アエロタクトの扇沢さんに「これからのパラグライダーは厚翼設計になっていきます・・・」と僕から提案をしていますが、1年後には扇沢さんがイーデル社(ジングライダーの前身)で設計開発した、翼厚20%近いクワントムとエナジーが完成しています。
その後には世界中が厚翼のキャノピーしか作らなくなり、世界中の初級機や中級機のキャノピーのリブ翼形が、ほぼ同じの設計になった時代もありました。(20年も前のお話です)
 
今は、メンターのように素晴らしい性能で、キャノピーをわざと半分以上潰しても、すぐに回復する安全性能な時代です。
最近はファントムのような画期的な設計、優れた性能と安全性能には驚かされます。

でも正直、僕の理論ではシングルサーフェスのキャノピーが出てくるとは驚きです。最近は、シャークノーズデザインが出たように、インテークから入るキャノピーの内圧がとても大事で、潰れにくいうえ潰れても回復が早い安全性能になったと思っていたのです。


2018.08.14 18:43 | 固定リンク | 余談ですが

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