4 サーマルに遭遇したら
2018.08.16

バリオが鳴って翼の持ち上げられた側がサーマルの中心です。バリオの音色がピークを過ぎたら持ち上げられた側にすぐに旋回を始めます。一般的には2回3回と旋回し、バリオの音色を確かめながらサーマルコアの中心に寄せるように、音色がかん高くなる方向に少し前進しながら先回の中心を合わせます。
ちなみにサーマルに遭遇して、バリオが鳴ってすぐに旋回をすると、サーマルに入り始めたのにUターンしている事になるのです。
サーマルの大きさを測る上でもバリオの音色がピークを過ぎたところで旋回を開始する事で、サーマルコアにより近い旋回を始められるのです。

サーマルセンタリングは
僕は30分ほどの操縦ですが、セスナ機、ヘリ、の操縦体験をしています。他に翼長4mのラジコングライダーを設計して飛ばしています。(三和が翌年に4mグライダーを発売しています)
そのラジコングライダーの小さなエンジンは3分くらいで燃料が無くなるのですが、とても高いところでサーマルセンタリングをずっと続けていたら、丘珠空港に向かうセスナ機が、その少し下を飛行していったことが有ります。(僕のグライダーを見に来て通過していった感じの距離です)

前置きが長くなりましたが、旋回中の操縦は旋回半径に比例してある程度エレベーターを引きます。そうすることで、バランスのとれた正しい旋回になるのです。
旅客機が大きく傾けて旋回していても、パイロットが適度にエレベーターを引いているので、搭乗者が傾いた下向きに引っ張られずにバランスが取れているのです。

小さな旋回やサーマルセンタリングの時に、もし外側のブレークコードも引かなければエレベーターを引く操作をしていないことになるので、スパイラルな旋回になって、大きく沈下します。ですから両方のブレークコードを引かなければサーマルに入っていてもあまり上昇しないのです。
とくにパラグライダーのサーマルセンタリングは、とても小さく旋回をしますから、勢いのあるサーマルに入った時には、内側も外側もこれでもかと言わんばかりに両方のブレークコードを引いて、小さく旋回し勢いよく上昇するのです。

きれいに円を書く様にセンタリングをしていると、少しずつ風下にずれてしまい、サーマルから出てしまうことが有ります。なので、バリオの音色を聞きながら気持ち風上側になったサーマルコアに戻りながら旋回をしています。

それから小さなサーマルでは旋回方向を変えずにセンタリングをするのが基本です。不用意に回転方向を変えると、どこにサーマルが有ったかわからなくなることが多いです。

センタリング上昇中は気を付けて
皆さんがサーマルで上昇していても、その同じサーマルの下からベテランパイロットは一気に追いついて上昇してきますから、早めにサーマルの外へ出て衝突を避けてくださいね。
(ソアリングを始める前に皆さんに受けていただいている「ルスツソアリングライセンステスト」にも書いているいくつかのトラフィックルールにも、上にいるパイロットが進路を譲るルールになっています。

ハンググライダーの時代、僕がサーマルで上昇中に上を飛んでいた仲間のWさんが、僕の機体にぶつかる前から「アーゴメンゴメン」と真上であやまっていたことが有ります。(やさしいオカマ状態だった)ハンググライダーはとくに、全く上の状況が見えないのです)

サーマルセンタリング中に相手と対角に対面しながら上昇する事が有ります。両方のブレークコード操作で互いの旋回の中心と旋回速度を調整するのですが、相手の目を見て、そのパイロットが信頼できるのか判断してください。

セスナ機の操縦はモーターパラの生徒であったTさんのセスナ機にお誘いを受けて丘珠から離陸し、三笠から上昇して富良野スキー場を右下に見ながら下降し、十勝岳、大雪山、旭川空港、芦別を見下ろして飛びました。

ヘリはホノルル空港から離陸した時、右下にコンコルドが駐機していました。ワイキキを右に見て運河上空を飛行し、マカプーのあたりで右旋回してタイヤモンドヘッド、ワイキキの海岸線を飛行して戻ったのですが、航空管制圏以外は僕が操縦していましたっ!



サーマルで上がってくる虫
2018.08.16

夏になるとサーマルが上がっているのが見えることが有ります。
周りの状況に目を凝らすとサーマルと一緒に虫も吸い上げられて昇ってくることに気が付きます。パラグライダー競技では、遠くの地面温度を見分けることも含めて、上昇する技術に視力がとても有利になるのです。

春先には居ない虫ですが、夏には虫を見つけることでその上昇気流を見つけられるのです。皆さんもその気になって探して見てください。


5 尻別岳への行きと帰りは
2018.08.16

南風の橇負山から尻別岳ねらいは、道の駅方向の畑か道の駅から来るサーマルで高度を稼いで向かいますが、スロープソアリング中でもコンディションが良いと判断すると、プラス150m程度でも尻別岳に向かっています。少し東回りで飛んでいき、カイト山南斜面でルスツリゾートの駐車場のサーマルを利用して、8の字旋回やセンタリングすることで一気に尻別岳の高さまで上昇します。なかなか上がらないようなら、サーマルブローの周期まで少し待ってみましょう。こんな日は、初級機でも誰でも簡単に尻別岳まで行けるのです。
尻別岳ねらいは南か南南東の風の日が狙い目です。風を読んでトライしてみてくださいね。サーマルコンディションの日は簡単です。

尻別岳からの帰りは
帰りは風が弱い日は適度にアクセルを踏んで、風が強い日はフルアクセルでカイト山南斜面まで戻り、そこでもう一度駐車場のサーマルブローを利用して、できるだけ上昇しておいて、そこからはフルアクセルで橇負山の南斜面に戻りますが、その位置からはゴンドラ駅より右に進入しないで戻るのがセオリーです。

ゴンドラ駅より右の山頂中心部で進入して低くなると、下降するウエーブにはまってしまい、高度が下がってしまえば乱気流にたたかれます。
カイト山からは、橇負山からの風の流れをイメージして、ゴンドラ駅真っすぐか、わずかに右に見ながら戻ってくるのが安全です。

向い風では特に
向い風との戦いや次のサーマルまでの前進においては、ハーネスのサイドベルトを緩めてリクライニングし、抗力を小さくすることでさらに加速して滑空比が伸びるのです。とくに向い風との戦いでは、リクライニングする事が大きく結果を左右します。
でも、メンターのように飛行速度が有るキャノピーは、抗力の小さいポッドハーネスとの併用で尻別岳からストレスなく戻れる時もありますが、手抜きをせず風を読み、油断せずに最良の飛行コースを選びながら戻ります。
高度が下がってしまってもカイト山や尻別岳にもう一度戻り高度を取り戻してトライです。

クロスカントリーフライトにおいてハーネスをリクライニングして抗力を小さくする意味は、穏やかな下り坂で自転車のブレーキを開放するのと同じなのです。
アスリートがポッドハーネスを使用するのは、リクライニングスタイルよりもさらに抗力を小さくするためです。

西風の日の尻別狙いは
僕は西風で何度か尻別岳に行っています。スロープソアリングをしながら上昇し、一番北にあるデコ山で高度が少し下がるくらいまで西に前進しておいてから一気に尻別岳の中腹にへばりついて、8の字旋回で上げ直しをします。
(デコ山で高度が少し下がるくらいまで西に前進する理由は、尻別岳まで西風と戦いながら編流飛行するベクトルの改善ができるからです)

一度、あげ直しが出かなかったことが有るのですが、理由は、8の字旋回が尻別岳に接近しすぎていて、尻別岳よりもう少し西側の畑から勢いのあるサーマルが出ているせいで、僕の8の字旋回が、そのサーマルの後ろであったために、尻別岳の斜面上昇風が弱かったわけです。
トップアウトをあきらめて高度100mを切ったあたりで、その畑の大きな上昇風に遭遇したことで、風を理解したわけです。
なので、西風の日は斜面よりも西に出て行って、畑からのサーマル帯を意識してコース取りをお勧めします。

もう一つの方法は、カイト山まで回り込んで、斜面上昇風のみで尻別岳に行く方法が有ります。

西風の尻別岳からの戻りは、編流飛行で簡単に戻ってこられます。

西風の尻別岳へのトライは、失敗しても真下に着陸できる所が有るので安心です。
ルスツはよそのエリアと違って、うまく戻れなくてもあちらこちらに安心して着陸ができる所が有っていいですね。乱気流になっていないところを選んでランディングです。



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